気象予報士というと、誰もが聞いたことのある資格。
テレビで活躍している気象予報士は、もちろん、皆さん気象予報士資格をお持ちです。
「頭のいい人」しかなれない、というイメージのある気象予報士。
果たして本当にそうなのでしょうか。
この記事では、気象予報士試験について、徹底解剖していきます。
この記事でわかること
- 気象予報士試験っていつから何のために始まったの?
- 合格すると何ができるようになるの?
- 試験日や試験場所、受験資格は?
- 気になる試験科目は?
- 合格率はどれくらい?難易度は?
目次
気象予報士試験の歴史と目的
■意外と歴史の浅い気象予報士
気象予報士試験が行われることになったきっかけは、以下の通りです。
気象業務支援センターHPより引用
平成5年5月に改正された気象業務法(第19条の3)の規定により,気象庁長官の許可を受けて予報業務を行おうとする者(民間の気象会社など業務として天気の予測を行う事業者,正確には予報業務許可事業者といいます)は,現象の予想を気象予報士に行なわせなければならないとされています。本試験は,その合格者が現象の予想を適確に行うに足る能力を持ち,気象予報士の資格を有することを認定するために行うものです。
引用:一般財団法人 気象業務支援センターHP
本文中に『合格者が現象の予想を的確に行う足る能力を持ち・・』とありますが、この能力とはどのような能力なのかというと、
気象業務支援センターHPより引用
1.今後の技術革新に対処しうるように必要な気象学の基礎的知識
2.各種データを適切に処理し,科学的な予測を行う知識および能力
3.予測情報を提供するに不可欠な防災上の配慮を適確に行うための知識および能力
引用:一般財団法人 気象業務支援センターHP
小難しいことが書いてありますが、要は、平成5年の気象業務法という法律の改正を受けて、気象庁だけでなく、民間の人にも天気予報をしてもらいたいけど、現象の予想(天気予報)をする人は、ちゃんと天気の知識がある人にやってもらわないと困るよね。
天気予報って、人々に災害から身を守ってもらうために行うものでもあるし。
といった理由で始まったわけですね。
天気予報の情報は誰でも簡単に得ることのできる時代になりましたが、気象学や科学的な知識がないと、誤った解釈をしてしまい、デマ情報を流しかねません。
台風に関する情報とか、Twitter等でテキトーな情報が出回っているのを見ると、心が痛いというか、肝心なときに注意喚起につながらなくなるよ、と思ったります。
やはり、気象予報士制度は大事です。
■合格すると『自分で天気予報』ができる
さて、気象予報士試験に合格すると何ができるようになるのか。
自分で天気予報をすることができます!!
でも、大事なことです。
先にお話したとおり、気象予報士試験に合格するということは、気象学や科学的な能力、防災上必要な能力が備わっている証。
このような能力が備わって初めて、自分で天気予報をできるようになるのです。
逆にいうと、気象予報士資格を持っていない人が、一般向けに天気予報をすることはできません。
「テレビに出ているお天気お姉さんって気象予報士じゃなくない?天気予報してるけど。」
と思った人。
実は、天気の解説なら、気象予報士じゃなくてもできます。
気象予報士資格を持っていないのにテレビで天気予報(天気解説)しているお天気お姉さんは、正確には気象予報士の書いた原稿を読み上げているに過ぎません。
それに対し、気象予報士は、自分で予報をすることが可能となり、それをテレビで話すこともできます。
試験日や試験場所は?受験資格はあるの?
■試験日は?〜年に2回のチャンス!〜
気象予報士試験は、毎年8月と1月の日曜日、つまり1年に2回行われます。
試験が日曜日ということもあり、お休みの人も多く、試験会場が遠方だとしても土曜日のうちにホテルにチェックインできるので、受験しやすい資格といえるのではないでしょうか。
■試験会場はどこ?〜意外と多い試験会場〜
試験会場は、北海道(札幌市)、宮城県(仙台市)、東京都(23区内の2会場)、大阪府(大阪市)、福岡県(福岡市)、沖縄県(那覇市)です。
宅建士など超人気資格と比べると受験人数の少ない気象予報士試験ですが、意外と会場数はあるんですよね。
ただ、日本海側の地域の人や四国の人は、近くに会場がないので、宿泊必須となりそうです。
会場になるのは、大学や専門学校のことが多いです。
ちなみに僕は、東京会場で3回受験したのですが、東京大学→駒澤大学→立正大学(ここで合格)でした。
悩みとしては、大学の大教室になるとイスが硬かったり、机が手前方向に傾いていて鉛筆が落ちる、冷房や暖房が強いor弱い、夏は台風、冬は雪の可能性があり電車など遅延しないか心配、などなど。
試験内容は?〜理系が有利とも限らない!〜
■試験科目は3つ〜ただしその中身は多い・・〜
試験科目は、一般知識、専門知識、実技の3つです。
ただ、このあと細かくご説明するのですが、一つの科目の中身が非常に多く、勉強範囲は広いです。
一般知識と専門知識はマークシート式で、一般知識、専門知識、それぞれ15問ずつの出題です。
試験時間は、それぞれ1時間です。
実技は記述式ですが、ビビる必要はないです。
解答するのは、穴埋めに対する答え、15〜50時程度の記述、前線等の作図などです。
数千文字の論文などが出るわけではないので、ご安心ください。
実技は2つ(例:台風の日の天気図と雪の日の天気図の問題など)あるのですが、試験時間はそれぞれ75分です。
試験を全部受けるとなると、昼間丸々つぶれます。
ただ、これがあっという間なんです。
特に実技は時間切れで回答できず、なんてことが続き、僕はようやく3回目の試験で合格しました。
■一般知識
まずは、一般知識の内容です。
一般知識の内容
①⼤気の構造
②⼤気の熱⼒学
③降⽔過程
④⼤気における放射
⑤⼤気の⼒学
⑥気象現象
⑦気候の変動
⑧気象業務法その他の気象業務に関する法規
簡単に言うと、一般知識は数学、物理、地学がメインです。
理系の方や大学で気象学を勉強している人はけっこう解けると思いますが、逆に文系の人は複雑な計算問題が出題されることもあるので、ちょっと苦労するかもです。
上記、理系的な問題に加え、法律問題があります。
気象業務法や水防法、消防法、災害対策基本法などですね。
計算が苦手な文系の方は、法律問題が全15問中4問出るので、全部落とさないようにするのが攻略ポイントです。
■専門知識
専門知識の内容です。
専門知識の内容
①観測の成果の利⽤
②数値予報短期予報・中期予報
③⻑期予報
④局地予報
⑤短時間予報
⑥気象災害
⑦予想の精度の評価
⑧気象の予想の応⽤
専門知識は、観測機器の知識や、予報するために使っているコンピュータの計算の仕組み、注意報・警報などについて問われます。
こちらは、理系や大学で気象学を学んでる人も含め、ほぼ誰もが一から勉強する内容だと思います。
計算問題も多少あるものの、気象予報士になりたい気持ちが強い人=天気好きな人なら、わりと簡単に突破できるでしょう。
■実技
最後に実技です。
実技の内容
①気象概況及びその変動の把握
②局地的な気象の予報
③台⾵等緊急時における対応
ということで、テレビのように人前で解説したりしません(笑)
実技は、2〜3日先までの天気が10枚くらい配れて、実際に天気図を解析して(読み解いて)、問題で問われたことに対し記述で解答するというものです。
気象予報士試験で出てくる天気図は、天気が荒れた日の天気図です。
これは、防災を大事にしているためです。
具体的には、台風や前線による大雨、爆弾低気圧(発達した低気圧)、大雪などの日の天気図です。
実技試験はとにかく時間がないです。
75分もありますが、それでも足りない。。
これは、実際に働き始めたときに、サクッと予報でくる人を求めているためです。
■理系が有利とも限らない?
たしかに、理系科目が多いです。
だって、気象ですから。
でも、一般知識には法律問題が全15問中4問も出ますし、専門科目は一部計算問題を除きほぼ暗記、実技は記述ですからむしろ文系の人のほうがスラスラ書けちゃいます。
逆に理系の人は、実技で苦労するかもしれません。
理系の人は、記述で決められた文字数に収められない人が多い印象です。
ポイントを絞って話をまとめることがきっと苦手なんでしょうね。
細かいことが気になりすぎて、あれやこれやと書いているうちに文字数オーバー。
気象予報士試験の合格率や難易度は?
たしかにかなり難しいかもしれない。
でも、頭がいい人が受かる試験だとは思わない。
天気が好きで、諦めない心がある人であれば、誰もが受かる試験だと思います。
■合格基準はわりと易しめ
まず、合格基準を見てみましょう。
合格基準
一般知識:15問中11問以上正解
専門知識:15問中11問以上正解
実技:総得点が満点の70%以上
※ただし、一般、専門、実技ともに難易度により合格点を調整する場合あり。
受験者全員の出来により合格点が調整されることがあり、この点より高くも低くもなることがあります。
試験ができなくても、全体的にできていなければ、合格点は下がるので、早々に諦める必要はないのです。
■合格率は4〜5%
これまでの気象予報士試験の合格率を見てみると、4〜5%程度です。
合格率4〜5%のカラクリ
①興味本位で受ける人が多い
②学生時代の偏差値とは比例しない
まず、①の興味本位で受ける人が多いことについて。
よく、超難関の弁護士や公認会計士の合格率と同じくらいと言われることがあります。
気象予報士も弁護士も公認会計士も、合格率が数%だから。
でも、僕は、これはナンセンスな比較だと思っています。
なぜなら、弁護士や公認会計士は本気で目指している人が大半の試験ですので、本気で勉強している人たちの中での争い。
それに対し、気象予報士は、以下で述べるように興味本位で受ける人も多く、本気度の低い人が混じった中での争い。
つまり、同じ合格率数%だからといって、その意味合いは全く違うと思います。
気象予報士というと、やっぱり最初にイメージするのはテレビの天気予報ではないでしょうか。
つまり、気象予報士の資格を取って、テレビに出られたら・・とか、アナウンサー試験で有利になるかも・・とか、きれいなお天気お姉さんとお近づきになれるかも・・とか、そういう動機で受ける人が多い資格です。
一部、本当に本気で頑張って、アナウンサーになられたり、実際にテレビでお天気キャスターを務められている気象予報士の方もいらっしゃいます。
しかし、大半は、そんなに強い気持ちで受けているわけではなく、興味本位の人が多いので、受験者全員がレベルが高いわけではありません。
本気で勉強している人の合格率を出してみると、きっと4〜5%よりも格段に高いのではないでしょうか。
次に②の学生時代の偏差値とは比例しないについて。
こちらはカラクリというか、合格する人みんながみんな、学生時代に勉強ができた人たちばかりじゃないよ。だからビビらないで、諦めずに勉強してね、というメッセージを送りたいなと思い、書きました。
気象予報士試験の内容について先にお話しましたが、たしかに一般知識は理系や大学で気象学を学んでいる人が有利かもしれない。
でも、一般知識の気象業務法や専門知識、実技なんかは、正直、学校で習わないことがほとんどなので、みんなほぼ横一線のスタートなんですよね。
だから、合格率4〜5%という数字を見て諦めないでほしいです。
それでも、気持ちが強ければ受かる試験です。
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