目次
保証協会の概要
前回のおさらいをすると、宅建業者と客との宅建業に関するやりとりの中で、客に損失が発生したときに埋め合わせをするために仲介してくれるのが供託所でした。
埋め合わせをするために、事前に供託所に預けておくのが営業保証金でした。
ただ、この営業保証金、めちゃくちゃ高くてびっくりしました。
こんなに高いんじゃ、なかなか気軽に宅建業って始められないやと思った次第です。。
【供託する営業保証金】
・本店(主たる事務所)につき1000万円
・支店(従たる事務所)1か所につき500万円
ただ、こんなに高い金額を供託せず済むように、救ってくれる制度がありました。
それが、保証協会(宅地建物取引業保証協会)です。
営業保証金制度のところで勉強した感じだと、宅建業者と客との間に供託所があり、供託所が宅建業者と客の仲介役みたいになっていましたが、その間にさらに保証協会が入ることで、保証協会は仲介の仲介みたいな役割を果たすことになります。
【保証協会】
・保証協会に加入すると、営業保証金の供託が免除される。
・必須業務:苦情の解決、宅建業に関する研修、弁済業務
・任意業務:一般保証業務、手付金等保管事業、研修実施に要する費用の助成業務
保証協会に加入している人(宅建業者)を社員という。
※保証協会は一つしか入ることができない。
試験で問われるポイントは、
・保証協会の必須業務について
保証協会制度の弁済業務の一連の流れ
過去問を見ていて、営業保証金制度の一連の流れと、保証協会制度の一連の流れの違いを把握しておくことが重要だと感じました。
まず、営業保証金制度の一連の流れは以下の通りです。
【営業保証制度】
①宅建業者は供託所(本店最寄りの法務局)に営業保証金を供託する。※つまり預ける
②宅建業者と客が宅建業のやり取りをし、客が損をする
③客は供託所に「損したんだけど!」みたいな感じで、営業保証金の還付請求をする
④供託所は客に対して還付
⑤もし供託していたお金が足りなかったら、免許権者(国土交通大臣or都道府県知事)が宅建業者に対し不足額を供託するように促す
続いて、保証協会制度の一連の流れです。
【保証協会制度】
①宅建業者は、保証協会に弁済業務保証分担金を納付。
②保証協会は納付された弁済業務保証分担金に相当する額を、指定供託所(東京法務局)に供託する。
③宅建業者と客が宅建業のやり取りをし、客が損をする。
④客は保証協会に対して、認証の申し出をする。「損したんだけど!」みたいな。
⑤認証されたら、客は供託所に対して還付請求をする。
⑥還付請求に基づいて、供託所は客に還付。
⑦供託額が不足するため、国交大臣は保証協会に対して、不足額を供託するように通知する。
⑧保証協会は供託所に不足額を供託する。※宅建業者に代わって保証協会が立て替えてくれる。
⑨保証協会は宅建業者に対して通知。「立て替えておいたから、その分を納付して〜」と。
⑩宅建業者は、保証協会に対して還付充当金(立て替えてもらった分)を納付。
営業保証金制度に比べて、ちょっとステップが増えました。
それぞれのステップについて、ポイントをまとめます。
①弁済業務保証分担金の納付
【加入のために弁済保証分担金を納付する期限】
・すでにあるある宅建業者(事務所)が加入したい!・・・加入しようとする日までに加入
・加入後、さらに新事務所設置!・・・新事務所設置日から2週間以内
いつまでに加入する必要があるのか、試験で問われがち。
【納付額】
・本店(主たる事務所)につき60万円
・支店(従たる事務所)1か所につき30万円
→金銭のみ!!
この金額と、金銭のみ、というのは、試験で問われがち!計算が必要と問題もある。
②弁済業務保証金の指定供託所への供託
・宅建業者が保証協会に分担金を納付
→保証協会は納付された分担金全額を指定供託所に供託
・金銭でも有価証券でもOK!
・保証協会は供託後に、宅建業者の免許権者に、供託に係る届出を直ちににしなければならない。マスト!
なお、指定供託所とは、法務大臣と国土交通大臣が定めるところで、東京法務局のこと。
試験で問われるポイントは、
・保証協会→指定供託所への供託は、金銭でも有価証券でもいいこと
・保証協会が宅建業者の免許権者に供託に係る届出をしなければならないこと。しかも直ちに。
・誰が免許権者に届出を出すのか。保証協会→免許権者。※宅建業者ではない。
③④⑤⑥弁済業務保証金の還付
【還付の流れ】
・客が保証協会から認証を受ける(弁済を受けることができる額について)
↓↓
・認証後、還付請求を供託所に対して行う
↓↓
・指定供託所は客に還付
【還付を受けられる人】
・保証協会の社員(保証協会に入っている宅建業者)と、宅建業の取引をし、損をした人。
→【重要!】その宅建業者が、保証協会の社員になる前に取引をしていた客も還付の対象!
【還付額】
・営業保証金の範囲内
※分担金の範囲内ではなく、保証協会社員でなかった場合に供託しているはずの営業保証金の範囲内だということ。
試験で問われるポイントは、
・還付までの流れ。
・還付は、宅建業者が、保証協会の社員になる前に取引をしていた客も還付の対象だということ。
・還付額について。※分担金の範囲内ではなく、保証協会社員でなかった場合に供託しているはずの営業保証金の範囲内だということ。
⑦⑧弁済業務保証金の不足額の供託
【還付後、指定供託所の弁済業務保証金が不足】
指定供託所が客に弁済業務保証金から還付
↓↓
指定供託所の弁済業務保証金が足りなくなる
↓↓
保証協会が補充(立て替え)
→国交大臣から還付の通知を受けた日から2週間以内に、還付された額と同額の弁済業務保証金を指定供託所に供託
試験で問われるポイントは、
・全体的な流れ。
・「通知を受けた日から」と「2週間以内」。
・還付された額と同額の弁済業務保証金。
⑨⑩還付充当金の納付
・保証協会は社員(宅建業者)に対し、保証協会が立て替えている還付充当金を納付してと通知する
↓↓
・社員(宅建業者)は、通知を受けた日から2週間以内に還付充当金を保証協会に納付しなければならない
※還付充当金を納付しない場合は、宅建業者は保証協会社員の地位を失う
※でも、その後も続けたいなら、地位を失ってから1週間以内に、営業保証金を供託する必要がある
全体的な流れはやはりマストで覚える!
弁済業務保証金の取戻し・返還
営業保証金の取戻し・返還と、ほとんど同じです。
■取り戻し(指定供託所→保証協会)
下記の条件を満たしたとき、保証協会は指定供託所から弁済業務保証金を取り戻すことができる。
【弁済業務保証金を取り戻せるとき】
・宅建業者が、保証協会の社員でなくなったとき(※公告必要!)
・保証協会の社員(宅建業者)が、一部の事務所を廃止したとき
※印の部分ですが、宅建業者が保証協会の社員でなくなり、弁済業務保証金を取り戻す際には、保証協会は6か月以上の期間を定めて、公告しなければならない。
公告:債権を持っている人に対して申し出るよう呼びかけること。
試験で問われるポイントは、
・公告が必要か否か。
・公告の期間・・・6か月以上
■返還(保証協会→宅建業者)
取戻しのあと、保証協会は、指定供託所から取り戻した弁済業務保証金と同額の分担金を、宅建業者に返還する。