免許の種類2つ
宅建業の免許について。
宅建業の免許は、都道府県知事、または、国土交通大臣から受けます。
試験で問われるのは、どういう場合にどちらの免許を受けることになるのか。
どちらの免許を受ける?
1つの都道府県に事務所を設置
→その都道府県知事の免許
2つ以上の都道府県に事務所を設置
→国土交通大臣の免許
試験のひっかけポイントは、
・同じ都道県内に事務所2つ設置
→その都道府県知事の免許。2つだからといって、国土交通大臣の免許と間違わないようにすること。
・都道府県知事の免許であろうと、国土交通大臣の免許であろうと、全国で宅建業を営むことができる。
→都道府県免許の場合、限られた都道府県でのみ、、とか思いそうだが、引っかからないように。全国で営むことができる。
事務所とは?〜大きくわけて3つ〜
さて、都道府県知事、国土交通大臣、どちらの免許を受けるかは、事務所のある場所によると理解したわけですが、そもそも『事務所』とはなんなのか。
大まかに考えると、事務所とは以下の3つのことを満たすものをさすようです。
ポイント
本店(試験では『主たる事務所』と書かれることも)
支店(宅建業を営む支店)
継続的に業務可能な施設を有する場所、且つ、契約を締結する権限を有する使用人が置かれている場所
3つ目が少しややこしいですが、要は、テント張りとか一時的な建物ではないこと、支店長とか支配人とか偉めの上の立ち場の人がいることが条件となっているというわけですね。
試験の引っ掛けポイントは、
・『案内所』や『モデルルーム』は事務所に該当しないこと。
→上のどれにも該当しないですものね。
・本店が宅建業以外を営んでいても、本店は常に本店の役割を果たすこと。
→つまり、本店が宅建業以外を営んでおり、他の都道府県の支店で宅建業を営んでいる場合は、国土交通大臣の免許を受けることになる。
免許の申請
免許の申請方法
まず、免許の申請方法です。
宅建業の免許を受けるには、免許申請書などを都道府県知事、または、国土交通大臣に提出しなければなりませんが、国土交通大臣に申請する場合は、本店がある場所の都道府県知事を経由して申請することになります。
この、『経由して』というのが試験で問われたりします。
なぜ、国土交通大臣に直接提出しないのか、噛み砕いた解説では、「大臣は忙しいから」と書いてありました。
なんともわかりやすい(笑)
免許の有効期間
宅建士免許の有効期限は『5年』です。
試験で問われるポイントは、
・免許を都道府県知事から受けた場合と国土交通大臣から受けた場合とで、有効期限が違うような問われ方をする。
→ボーッとしていると、引っかかりそうなので要注意。
免許換え
免許替えとは、その言葉の通り、宅建士免許を受け直すこと。
もうちょっと話を具体化すると、①都道府県知事から免許を受けたけど、2つ以上の都道府県で事務所を構えることになったので、国土交通大臣の免許に換える必要が出てきた。
その逆で、②国土交通大臣の免許を受けていたけれど、一つの都道府県でのみ宅建業を営むことになったので、都道府県知事の免許に換える必要が出てきた。
③A県で宅建業を営んでいたけれど、A県での宅建業をやめ、B県で宅建業を営むことにしたので、A県知事の免許からB県知事の免許に換える必要が出てきた。
まとめると、
免許換え3パターン
①事務所増(複数都道府県で事務所を営む)
②事務所減(事務所一つの都道府県のみに)
③事務所移転(他の都道府県へ)
問題を解くときには、事務所がどういう状況にあって、今後どういう状況になるのか、しっかり読み解くことが重要ですね。
試験で問われるポイントは、
・廃業届というワードを用いてくる。
→例えば、A県の事務所をたたんで、B県で事務所を営むことになったため、A県知事に廃業届を提出した、など。
→B県で引き続き事務所を営む予定で、事務所を廃業するわけではないので、廃業届は不要です。引っ掛け問題なので、意識して問題に臨みたいところ。
また、宅建士免許の有効期間は5年ですが、免許換えによって新しく手にした免許の有効期間は何年なのか。
これも5年です。
新しい免許が交付された日から5年。
問題では、前の免許を引き継いで、、とか引っ掛けで出されることがあります。
前の免許で2年経っていたら、新しい免許の有効期間は3年とか。
そんなことはなく、新しくなったら振り出しに戻り、交付された日から5年です。
宅建業者名簿
国土交通省や都道府県に備えられている、宅建業者名簿についてです。
宅建業者名簿に記載されているには、次の事項です。
宅建業者名簿
①免許証番号、免許の年月日
②商号または名称
③法人・・・役員(非常勤でも)、政令で定める使用人の氏名
④個人・・・その人、政令定める使用人の氏名
⑤事務所の名称、所在地
⑥事務所ごとに置かれる専任の取引士の氏名
⑦宅建業以外の事業を行っている場合、その事業の種類
⑧指示処分や業務停止処分があったときは、その年月日、その内容
上記のうち、商号または名称、氏名(役員も使用人も)、事務所の名称・所在地、事務所ごとに置かれる専任の取引士の氏名に変更が合った場合は、30日以内に免許権者に変更の届出をしなければならない。
試験で問われるポイントは、
・宅建業者名簿と資格登録簿との混同。
→例えば役員の住所の変更。宅建業者名簿は役員の住所が載っていないので変更の届け出は不要。一方、資格登録簿には住所が載っているので変更の届け出が必要。
・宅建業以外の事業の変更。
→届け出不要。宅建業者名簿に載っているが、変更の届け出は不要。
廃業届等の届け出
廃業届は、廃業の種別、届け出る人、届け出る期限、免許失効がいつになるのか、を覚える必要があります。
以下、廃業の種類別にまとめました。
上から、廃業の種別、届け出る人、届け出る期限、免許失効がいつか、です。
【死亡】
・相続人
・死亡の事実を知った日から30日以内
・死亡時
試験で問われるポイントは、
・届け出る期限は死亡の事実を知った日から30日以内。
・ただ、免許が失効するのは、死亡したとき。
この2つがこんがらがらないように。
過去問を見ているとけっこう出ている印象です。
【合併による消滅(法人)】
・消滅した会社の代表者
・その日から30日以内
・消滅時
試験で問われるポイントは、
・消滅した会社の代表者が届け出ること。
→合併した会社の代表者が、、などと出ることがあるので、引っかからないように。
【破産(法人・個人)】
・破産管財人
・その日から30日以内
・届出時
【解散(法人)】
・清算人
・その日から30日以内
・届け出時
【廃業(個人・法人)】
・個人:本人、法人:会社の代表者
・その日から30日以内
・届け出時
過去問でややこしいなと思ったのが、
・法人は会社の代表者が届け出ると覚えていたのに、「代表する役員」と出て、これはどうなんだろうと迷った。
→代表する役員=会社の代表者、らしい。
言い回しが変わったときに混乱するので、柔軟に構えて置くことが重要。
日本語って難しい。
欠格事由
免許を申請しても、欠格事由に該当する人は免許を受けることができません。
ちなみに、
「欠格」=資格を欠いている
「事由」=要因
つまり、「欠格事由」=資格を欠いている要因
欠格事由に該当とは、つまり、宅建士免許を受ける資格がないですよという意味。
では、その欠格事由は何なのか。
大きくわけて、9つあります。
欠格事由
①心身故障、破産者(復権持たない)
②刑罰
③暴力団
④免許取り消し処分者
⑤悪人
⑥未成年の法定代理人で①〜⑤に該当
⑦役員等が①〜⑤に該当
⑧暴力団員等が事業活動を支配
⑨取引しの設置要件を欠く者
かなり簡略化しましたので、詳しくはお手持ちの参考書をご覧いただければと思います。
自分なりに覚えやすいように簡略化しました。
試験で問われるポイントで自分が苦手なのは、
・刑罰の種類と刑の重さを覚えていないと、解答できないこと。
まず、刑の重さは以下の順番です。
【重い】
・死刑
・懲役
・禁錮
・罰金
・拘留
・科料
・没収
【軽い】
この中で、禁錮以上の刑は、刑の執行が終わった日から5年を経過しない者は、免許を受けることができません。
また、宅建業法違反による罰金、暴力的な犯罪や背任罪による罰金も、刑の執行が終わった日から5年を経過しない者は、免許を受けることができません。
基本的には禁固刑以上、でも、宅建業法違反や暴力的な犯罪や背任罪は罰金でも欠格事由に該当してしまうということ。
けっこう過去問で出ていたので、しっかり覚えるべし。
そのほかも、
・執行猶予が満了すれば、直ちに免許を受けることができること
・刑が確定するまでは、免許を受けることができること
・破産者は復権を得れば、直ちに免許を受けることができること
・聴聞公示前60日以内にその法人の役員であった者は、その取消しの日から5年間は免許を受けることができないこと
などが問われていました。
宅建士は「5年」が一つキーポイントなのかなと思いました。
上記の欠格事由も5年間は免許を受けられないものがわりとあるし、免許の有効期限も5年だし。
迷ったら5年を信じよう。